高岡の鋳物
高岡大仏
(高さ14.98メートル,座高7.48メートル)
上の大仏様は、富山県高岡市の大佛寺にある「大仏」です。
「だいぶつさん」といって慕われていますが、高岡銅器職人の技術の結晶といわれています。
高岡は鋳物の町として有名なのですが、ご存知でしたでしょうか。
鋳物というのは加熱して溶かした金属を型に流し込んで、金属製品を造ることと辞書にあります。
日本に鋳物技術が伝わったのは、弥生時代と推測され、銅鐸や銅鏡、銅剣などが出土しています。
古墳時代や飛鳥時代以降になると、各種の器や工芸品、仏像などが造られるようになりました。
高岡市の場合、江戸時代、加賀前田藩の前田利長が鋳物師(いもじ)7人を京都の丹波から招い
て市内(金屋町)に工場を開いたことが起源とされています。
私は、中学の2年生まで高岡市に住んでいたのですが、当時は(もう70年近く前になりますが)
同じ町内に、金属を流し入れる土の型を造ったり、出来上がった銅製の壺を火花を飛ばしながら
磨く小さな町工場が沢山あったのを覚えています。
当時、高岡銅器は分業体制によって成り立っていたようです。
原型の製作→原型をもとに型をとる鋳型製作→鋳型に溶解した金属を流し込む鋳造→溶接→研磨
→着色や彫金
色々な工程があり、仏具・茶道具・花器・火鉢・銅像・梵鐘など大小、色々な製品が生産されて
いました。
400年の歴史をもつ高岡の鋳物技術は世界的評価も高く、国際的な名声を得ているそうですが、
何時の頃からか斜陽産業だといわれて久しく、とても残念に思っていました。
ところがこの度高岡へ帰郷して、今や世界に羽ばたく鋳物製造の会社があることを知り、見学に
行ってきました。
高岡市の南部にある、オフィスパークなかにその会社はありました。
会社の名前を「能作」と言います。
錫100%の食器や、ぐにゃーっと曲げたり伸ばしたりできる変幻自在の器を造っている会社です。
力の入れ具合で角度や形が変形する
製造工程が総てオープンにされ、溶かした金属が煙を上げて鋳造されていく工場内を見学できました。
体験教室では、20人くらいの方が、型取りから花瓶を造っておられる姿もありました。
1階の展示場には、能作さんの傑作、自由に曲げられる錫製品のお皿や果物籠が並べられていました。
ここで能作さんの具体的な経営の方針をご紹介するのは無理ですから、会社の履歴を詳しく編集され
た本をご紹介をしましょう。
著者 能作克治 ダイヤモンド社発行
富山を離れて70年、
故郷のニュースを聞く度に、一喜一憂していた私ですが、こんな郷土の基幹産業を飛躍的に
発展させている製造工場があったことを知りませんでした。
経営者陣のご努力とアイディアで成し遂げられた偉業に感動しました。
400年の技術が生きていることに深く感動して帰郷したことです。
- 2023.07.28 Friday
- 地域のニュース
- 21:15
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- by 遊山