1万年の旅路
ようやく「梅雨明け宣言」がでたようですね。
関西では集中豪雨に見舞われることもなく、やれやれと言ったところでしょうか。
みなさんは長雨の間、どのようにしてお過ごしでしたか?
私は裏山の草刈りもできず、さりとて何処かへ遊びに出かけるということもできず、
もっぱら本を読んで(乱読?)過ごしておりました。
今日はその中の1冊をご紹介したいと思います。
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とても大部な本です。
最初は1年ほど前、オーデイオ・ブック(声優さんの朗読による)で読みました。
SDカードにダウンロードしたものをプレイヤーで再生し、一ヶ月程かけて聴きました。
とても感動しましたので、とうとう一冊買い求め2度めの読みを始めたところです。
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「一万年の旅路」は、ネイテイブ・アメリカンののイロコイ族に伝わる口承史であり、物語は
一万年以上も前、一族が長らく定住していたアジアの地を旅立つところから始まる。
彼らがベーリング陸橋を越え北米大陸に渡り、五大湖のほとりに永住の地を見つけるまでの
できごとが緻密に描写されており、定説を裏付ける証言となっている。(解説文より抜粋)
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アフリカで誕生した人類が数万年かけて世界中に広がり(グレート・ジャーニーと言うそうです)
南アメリカの南端、パタゴニアまで達したという定説は、もはや小学校でも学習していることなの
だ思いいますが、最終氷河期の1万年ほど前、ベーリング海を渡ってアメリカへ渡った民俗の口承
史があるというのです。
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まさか「ベーリング海の渡り」の口承史があるなんて一寸にわかには信じがたい。
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しかしあったのですね。いかにして「移動の長い長い歴史」が民俗の中で語り伝えられてきたのか、
守り続けられてきたのかそのあたりのことも詳しく記されています。
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今から1万年前の最終氷河期には、ベーリング海の海面は今より200メートルも低い位置にあり
水没寸前だったそうですが、そこを歩く民(私達と同じモンゴロイド)が苦難の末に渡りきった話
には驚かせられます。
長い旅の中で、生きる術を身に着け、食物を得、失敗を繰り返してときには命を失い、他の先住民
(2本足)との抗争で知恵を働かせながら、永住地へたどり着く長い歴史には、今まで読んだもの
とは全く異なる感動を覚えました。
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しかしこの長い物語を文章で紹介するのは私には全くもって困難なのです。
読みすすめることで歴史(生活の重みと言ったらたらいいでしょうか、知恵と言うべきかな)
を教えられたように思います。
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もし店頭や図書館でご覧になったら、一度手に取ってみてください。面白いです。
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一万年の旅路 ポーラ・アンダーウッド 著
星川淳一 訳
翔泳社
表紙の写真は、探検家 星野道夫さんの作品です。
- 2019.07.21 Sunday
- 読書
- 10:36
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- by 遊山